好き避け女性へ―好き避けからの逆転の発想

 恋愛に「好き避け」という言葉がある。好きだけど恥ずかしくて避けてしまうことをいう。本当は好きなのに、相手の異性に冷たくしてしまうことを反動形成といい、好き避けもそのひとつと考えられる。ツンデレと間違いやすいけど、好き避けは二人きりにはなることができず、ツンデレは二人きりになることができて、しかも二人きりだととても優しくなれる。そう、好き避けは恥ずかしいという気持ちに正直で、相手の男性のそばに行きたいけど行けないという女性の行動をいう。ツンデレは周りの目を気にしているだけなので、二人きりになれる状況をつくれば素直になれる。好き避けだと二人きりという状況もつくれない。ここが問題だ。
 好き避けに関する話題は、恋愛相談でも多い。一般に好き避けしている女性は、同性からはかわいいと受けがいいけど、そこからは男性の立場が抜け落ちている。男性の立場から好き避け女性を見ると、困った子になる可能性が高い。素直になれれば成就する恋も、好き避けすることで台無しにしている女性は多いと思う。多くの男性は「脈無し」と判断するからだ。
 これを、女性が自分を高く見せるために進化の中で身につけた高等技術とも見られるけど、男性でも好き避けすることがあるので、それほど説得力はない。
 実は、ひとの心は単純ではない。好きだから近づきたいという気持ちと、好きだけど避けてしまうという二つの感情が同居していても不自然ではない。むしろ自然だと思う。「自分探し」がはやっているけど、「自分らしさ」が分からないのが当然で、ひとの心の中には色々な感情が同居しているものだ。好きなら好きなほど臆病にもなってしまって、今の関係が壊れないように、告白しないようにしよう、気づかれないようにしようと思うのも分かる。
 しかも好き避けは学生のうちだけではない。30代の女性もあきらめが先に立ち、傷つく前に好き避けしてしまうことがある。あるいは慎重さゆえに相手の気持ちを直接確かめられず、相手の行動に一喜一憂している場合もある。
 誰でも好きな人の前では上がってしまい、なかなか思うように行動できない。同性の目から見れば、他の男性と好きな男性に対する笑顔は全然違って見えていて、好きな男性を見る目は恥ずかしいけど好きというハニカム表情になっているし、目が潤んで輝きが増している。でも、これを見て好きだと分かるのは、あくまで女性同士だからだ。
 やはり男性は素直な女性に惹かれる。素直な女性なら、笑顔を絶やさなかったり自然に触れたりできるから、男性にも気持ちは通じる。なによりも男性の気持ちを和ませてくれる。それに対して好き避けする女性は、好きな男性をつい避けて、自分の気持ちと裏腹に嫌いな素振りをしてしまい、相手が近づいてくると逃げてしまう。会話やメールもそっけない。好きなのに「嫌い」と言ったりもする。それでも他の男性とは明らかに違う態度をしているのだから、第三者からは分かるかもしれない。でも相手の男性は分からない。だって自分がいない時のその女性の様子を知らないから、避けているという印象しかない。だから嫌われているとしか思えない。
 好き避けする女性の気持ちは分からないでもない。でも男性は、優しくされると「この女性は自分に気がある」と思うし、避けられると「この女性には嫌われている」と思う。とくに男性は、女性の「避ける」という行動に敏感になる。避けられるかどうかで、その女性が自分を嫌っているかどうかを判断するからだ。男性は好き避けする女性が自分に気があるとは思わずに、嫌われていると思ってしまう。ましてやその女性が他の男性とは話すのに、自分とは話さないとなると、彼はもう完全に嫌われているとしか思わない。もし彼もあなたのことが好きだったらどうだろう。他の男性と談笑しているあなたを見たら、不愉快に思うし、プライドを傷つけられたと思うだろう。たとえそれが仕事に関する話でもだ。このあたりのことは女性には分からないかもしれない。だから彼があなたに好意を持っているほど、あなたの行動で深く傷つく。せっかく両思いなのに、自分から壊してしまう。これでは好きな男性に嫌われて、嫌いな男性に言い寄られるのが当たり前だって分かるよね。
 しかも激しく好き避けをする女性は、メールをしても返事がこない。どんなメールにしたらいいか迷っているうちに、メールを出せないでいる。でもメールの返事をもらえなければ、男性は無視されたと思う。たとえ好き避けであることが分かっていたとしても、話しかけることさえできないのだから、男性にはもう打つ手がない。もちろん彼があなたに好意を持っていなければ問題ない。ただ無視すればいいだけだからだ。だけど好意を持っていたら、あなたに避けられたという思いが彼には強く残る。あとで、あなたが近づいたとしても、今度は彼が避けるかもしれない。ようやく勇気をもてたあなたには悲劇だ。
 それも仕方ないかもね。だって、あなたは彼を苦しめていたのだから。男性も一度や二度なら諦めないかもしれないけど、何度も繰返されるとまた断られるのではないかと思い、用心深くなり、消極的になってしまう。あるいは好き避けと思っているのは勘違いで、本当は嫌われているだけではないかと迷いはじめる。あなたの友達からあなたの気持ちを聞いていたとしても、それは友達の勘違いだと思うようになる。あるいは、男性は自分がからかわれているのではないかと疑い始める。そして、こんどは彼があなたを避け始める。彼も本当は好きなのに、避けられてきた経験から反動形成を起こしてしまう。こうなると、どちらも本音は好きなのに好きと言えない。恋のデフレスパイラルになる。
 草食系男子が増えたといわれ、それを嘆く意見も多いけど、実は男性にとって恋愛に積極的になれない理由がある。それはセクハラの基準が客観的なものではなく、女性の気持ち次第ということだ。同じことをしても、男性によってセクハラになったり、ならなかったりする。好き避けの女性には何度も声をかけてもいいだろうけど、嫌い避けしている女性に何度も声をかけたらセクハラになる。好き避けしている女性に安心してもらうために近づくのはいいけど、嫌い避けしている女性に近づいたらストーカーになる。避けている女性を男性が一生懸命追いかけていたら、第三者からはどう見てもストーカーだよね。その区別を男性は手探りで測るしかない。だから社会的地位にある男性ほど、声をかけにくくなる。まちがったら社会的地位をいちどに失う。草食系男子にならざるを得ないのが現実だ。男性も声をかけにくいのは学生のときだけではない。むしろ社会的地位を得た後ほど、恋愛には消極的になる。最初から出会いを求める場所でしか、女性に声をかけられなくなる。だから、「男性なのだから」という言葉は軽々しく言ってほしくない。
 激しく好き避けされている彼は、話しかけては逃げられることの繰り返しだから、打つ手もなく「永遠という名の絶望」に陥ってしまう。いつになったらこの苦しみから脱出できるのか、その見通しもないまま彼は混乱し苦しみ続ける。あなたには、あなたの行為が彼を苦しめていることに早く気づいてほしい。しかも、彼が優しければ優しいほど苦しみは深い。彼を苦しめてまで好き避けを続ける? 素直になれれば、二人とも幸せになれるのに。せめて彼から話しかけられたら素直に受け止めてほしい。あなたは「恥ずかしい」から逃げてしまうのだろうけど、彼はあなたの行動の理解に苦しみ、出口のない「永遠という名の絶望」に打ちひしがれている。下手をすれば今の地位を失う可能性まであると考えて、好きでも好きとはいえない状況に陥る。どちらの苦しみの方が大きいか分かるよね。自分が避けられたら、どう思う? 嫌われたと思って、混乱しちゃうでしょう。男性だって同じ。あなたに避けられて混乱している。しかも女性の場合と異なり、男性はセクハラ問題を気にして行動できない。彼の苦しみが分かるよね。逃げてばかりいる女性は、自分のことしか考えていないと非難されても仕方ないよ。彼に迷惑をかけまいとする気持ちが、かえって彼を傷つけていることに早く気づいてほしい。彼の負担にはなりたくないという気持ちが、彼の負担になっている。でも、この苦しみから彼を救い出すのも、実はあなたにしかできないことだ。
 男性は、誰であろうと女性から話しかけられて悪い気はしない。ましてや告白ならうれしい。ここも女性と男性の違いだ。女性は嫌いな男性から告白されたら激しく拒否するけど、男性は女性から告白されたら誰であろうとまずは受けとめるものだ。はっきりいって悪い気はしない。だから、あなたには彼のそばにいたいという気持ちをぜひ優先さてほしい。好き避けしたいという気持ちに正直になるのではなく、好きという気持ちに素直になれば、彼から話しかけられたとき逃げずにすむはず。でも本当は受け身な態度をやめて、勇気をもって彼に謝ってほしい。避けてしまったことを謝るんだ。そうすれば、あなたが好きになった優しい彼なら、きっと許してくれる。反省して自分のことを責めていたあなた自身の気持ちも楽になる。
 もし仕事などの理由で今すぐには付き合えないのならば、そのことをきちんと伝えればいい。それだけでも、彼は「永遠という名の絶望」からは救われるのだから。気持ちは分かっても、具体的なことまでは分からないもの。今すぐにでも、そばにいたいという自分の気持ちに素直になって、まず避けたことを謝ることからはじめてほしい。謝ってしまえば、「実は好きなんです」と言えてしまうものだ。しかも、男性は本当に好きな女性にはなかなか手をつけられないものだから、少し待たせることぐらいは大丈夫だ。ただし、コミュニケーションは小まめにとってほしい。
 実は、これが哲学では弁証法とよばれるもので、壁にぶつかったときは実は好機で、今のままではダメだと思ったら、反対のことを試すんだ。恥ずかしがり屋のあなたが、思い切って謝ってみる。「好き」とは言えなくても、「避けてしまってごめんなさい」なら言えるだろう? これが逆転の発想の弁証法だ。理由を言って思い切って謝れば、ほとんどの男性は許してくれる。しかも理由が「好きだから」ということであれば、許さない男性はいない。ただ恥ずかしくて言えなかっただけなのに、結果としては意中の男性の気を強く惹きつけたし、「避けていてごめんなさい」と話すきっかけもできた。女性が謝るというのは、男性から見てとてもかわいく見えて得点が高い。それまで「なんで避けているんだよ」と不機嫌だった彼も見事にオチる。時期は好き避けしてしまっている自分に気づいて反省しているときだから、今がちょうどいいと思う。実践してみたらどうだろう。

"好き避け女性へ―好き避けからの逆転の発想" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント