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zoom RSS 政治家の言葉と法律家の言葉―菅内閣不信任否決後の政局

<<   作成日時 : 2011/06/04 22:49   >>

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 6月2日衆議院で菅直人内閣総理大臣に対する不信任案が否決された。このとき小沢一郎・田中真紀子氏ら民主党の一部が賛成にまわろうとしたが、菅首相・鳩山由紀夫前首相による事前の会談で、菅首相が辞意を示したことで、小沢氏グループは欠席するにとどまり、不信任案は否決された。
 ところが菅首相およびその周辺は政治家の言葉と法律家の言葉の違いに気づかなかった。そのことで、内閣不信任案否決にもかかわらず菅首相は窮地に追い込まれ、政局は大きな転換を迎えつつある。
 口約束であろうと、首相が不信任案の議決の直前に辞意を表明したのであれば、辞意の時期に確約がなかったとしても今国会終了直後となる。鳩山由紀夫前首相が6月いっぱいでの辞職と思ったのは当然である。ところが菅首相とその周辺は署名をしなかったことから、その合意文書は無効だと主張した。しかし法的に無効であっても、政治家が発した言葉の重みは無効とはならない。しかも、今回の不信任案は海外メディアも注目していたため、菅・鳩山会談直後に菅首相の辞意は世界に配信されてしまった。もう菅首相の言葉を信用する者は世界にはいない。策にはめたつもりで、はめられたのが菅首相とその周辺といえる。
 小沢氏の影響力の低下を主張する者もあるが、それはちがう。まず、今回の内閣不信任案を自民・公明・みんなの党が衆議院に提出したのは、小沢氏の造反に期待してのことである。この段階で、菅首相と自民党との大連立の芽は摘まれている。実際に、国会における自民党の菅首相追及は厳しさを増している。参議院で問責決議案が賛成されれば、もはや首相は参議院には出席できず、いかなる法案も参議院を通らない。しかも、小沢氏らは欠席したことで自民党に義理立てしている。追い詰められたのは小沢氏ではなく、菅首相である。
 さらに、内閣不信任案可決で菅首相が解散権を使用すれば、民主党は解散選挙で現有勢力を維持できなかったであろう。小沢氏らは多くの民主党議員の議員生命を救ったことになる。自民党に義理立てしながら、民主党も救ったのである。しかも民主党から松木謙公元農水政務官・横粂勝仁両氏が不信任案に賛成したため、欠席にとどまった小沢氏らを民主党執行部は除籍処分にできなかった。
 つぎに菅首相が辞意を翻したことで、民主党内でも菅氏に対する批判が出ている。署名がないことでうまく乗り切ったつもりで、政治家のとしての信用を失った。しかも連日の報道で、菅氏は信用できないというイメージを広く国民に植え付けてしまった。もはや菅首相の政治生命は終っている。今国会での辞意を不信任案否決直後に表明していれば、菅首相は今後も民主党内で発言力をもつことができたろう。辞職する好機を逸したといえる。
 総選挙を避けたことは、選挙の実施が難しい被災地の人びとをも救ったことになるだろう。辞任の言質をとったことは、たとえ覚書に署名がなくてもいい。政治家としての言葉には重みがある。今回の内閣不信任案の否決は、決して失敗ではない。
 菅首相が辞職した後の人選だが、オリジナル民主党に人材がいないことは露呈してしまった。現執行部から後継者が出ても政局はつづくことになる。もういちど政局は大きく動くことになるだろう。

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