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zoom RSS 『京極氏家臣某覚書抜萃』

<<   作成日時 : 2006/02/07 23:41   >>

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 『京極氏家臣某覚書抜萃』には、後継者のいない氏郷の消息が伝えられるとともに、讃岐丸亀藩主京極高豊の子息が氏郷の養子になったことが記されている。
 天和年間(一六八一−八四)、京都に佐々木六角氏の末孫である六角中務少輔という人物がいたが、浪人にもかかわらず、白小袖の下着を着用していた。そのため、それを不審に思った京都所司代稲葉正則(丹後守)は二人の与力と申し談じて中務少輔宅に赴き、貴殿にては何の官位昇進があって白小袖の下着を着用しているのかと、対面の上尋ねたところ、中務は少しも驚かず返答した。われらの「先祖佐々木氏は往古より永付任御免許に付、御男子誕生七夜の内より五位の諸大夫になり、初官といへは四品に任」じるため、私も家伝定式のとおりにしているだけであると述べた。丹後守はなおも不審に思ったが、中務が永補任の書付けを持参して申し直し、それを見せて委細を述べたため、その後は何の沙汰もなかった。
 この事件に関して、同書には稲葉正則宛の京極高豊書状の写しが掲載されている。その書状の内容は、稲葉の質問に対して高豊が答えるという形のものであり、稲葉が六角中務少輔を取り調べた際に、その裏付けを取るために高豊に質問状を送ったものと見られる。同書状の中で、高豊は「中務儀、私も可存と御書中に被仰に候得共、江州浪人に六角兵部と申者有之候とは前方家来共風説及承候」と述べていることから、この書状が書かれた時点で、高豊が六角兵部という人物を知っていたことが分かる。ただし中務少輔については知らなかったようである。六角兵部というのは、中務少輔の前名であろう。
 また同書によれば、天和年間(一六八一−八四)末から貞享年間(一六八四−八八)初めにかけての頃、六角兵部殿といふ御方が京都に住んでいたが、その家臣阿閉内蔵丞が、丸亀藩の役人に出会い物語を致すべき旨を兵部殿から仰せ付けられて、丸亀を訪れたという記事が見え、「内蔵丞着船後申述候ニ付、大目付伴孫次兵衛被出条々云」とある。この六角兵部は、もともと高豊が聞き知っていた人物である。京極家側では、六角氏郷のことを「六角兵部」と認識していたようだ。
 このとき阿閉内蔵丞が伝えた内容は、「兵部次第に年寄候得共、相続の子も無御座候ニ付、佐々木六角に相続可申置家宝七品有之、他家へ相渡へき物に曽て無之、御当家へ御渡し申度」というものであった。兵部には相続すべき後継者がいないため、六角家に伝わる家宝七品を京極家に譲渡したいというのである。すでに筑前福岡藩(藩主黒田氏)や石見津和野藩(藩主亀井氏)のもとに七品持参の上で申し述べたが心得ず、京極・黒田・亀井の「三家の外佐々木の別れ可相渡方決て無付之、三家不得心ならは存生之内、焼捨可申との儀にて七品持参」したという。さいわい「高豊公御在城故、右之趣孫次兵衛登城申上けれは、高豊公御受納可被成とて、御受納内蔵丞御馳走被仰付帰り候時分、御目録被下」とある。「兵部殿へ御返書」の内容は、内蔵丞演説の趣は承知したこと、七品はまさに受け取ったこと、今まで疎遠であったが、今後は毎年銀三十枚を進ずるというものであった。
 これに関して、高豊宛の六角中務大輔礼状の写しも掲載されている。この中務大輔と兵部は同一人物であろう。同書状に「先日進申目録之趣家来申付置候」とあり、また「年来御懇意之段恭不浅候」と礼が述べられている。その中で中務大輔は、数年来痛風のために病床にあり、本復は難しく、執筆さえも思うようにならないと述べている。
 同書には、その三年後に兵部殿が丸亀に遠出したことが記されている。そのときであろう、「丸亀家中にて何も申候ハ、御合力銀は被差止、兵部六角御相続高豊御子様にて候儀、丸亀へ御招二千石か三千石か進られ候ハ可然と申由也」という話が持ち上がっている。当時、藩主京極高豊の子が六角兵部の養子になっていたのである。やはり六角氏郷と沢田源内は別人である。
 『大系図評判遮中抄』を記述した建部賢明は後世の人物であり、氏郷と同時代人である丸亀藩主京極高豊や相国寺住持汝舟妙恕の方が信用できる。これらの影写本は東大史料編纂所にあるにもかかわらず、どうしてこれまで無視されてきたのか不思議である。私が東大史料編纂所で『京極氏家臣某覚書抜萃』を含む『六角佐々木氏系図略』を見ようとした時、所員が使用していたため閲覧できないということがあった。ということは、人知れず埃をかぶっていたわけではない。それにもかかわらず、日の目を見なかったというのは不思議でならない。

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