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zoom RSS 東大現代文・受験現代文での出題者の意図

<<   作成日時 : 2005/11/23 17:08   >>

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東大国語の現代文を読むときに注意してほしいことは、どんなに反発したい内容であっても反発しないで、賛成しながら読むということである。これは東大現代文に限らず、どの大学の現代文にもいえることだが、受験生でも反論できるほどヤワな評論文が、受験現代文で使用されることはない。反発を感じたとしたら、むしろ読み方が浅いということだ。出題者は、その評論文を読んで何かを感じてほしいと思って出題しているのである。
 しかし大学は、従順な学生を欲しがっているわけではない。正しく理解できなければ、正しく批判することもできないのだ。東大がほしがっているのは、実は正しく批判できる人物である。正しく批判するためにも、まず筆者の主張を正しく理解しなければならない。そして正しく読むためには、最初から批判の眼を向けるのではなく、まずは賛成しながら読むということである。そうすれば、読む価値のある文章であることに気づけるはずだ。それが出題者の意図に応えるということにつながる。
 たとえば、2001年東京大学前期試験・国語第四問である。ここでは若者文化としての「携帯電話」が論じられているが、前半部は携帯電話を使用しない人が携帯電話のことをよく知らずに批判しているので、携帯電話を使用している者にとっては読む気にもなれないものだ。しかし、後半部の筆者の持論はいい内容になっている。前半部で反発して、そのまま反発した目で後半部を読むと筆者の意見を汲み取ることができなくなる。筆者の主張をまとめると、次のようになる。
 文体があるということは自分なりの見方があるということであり、自分らしさを持っているということである。だから文体を必要ないということは自分らしさを放棄することにもなる。もちろん、自分なりの見方を持つということは、自分なりの見方しかできないという限界にもなるが、それは逆に自分なりの切り口をもつという個性にもなる。文体を持たないオシャベリしかできないということは、つまり文体がないということ、個性がないということになる。
 筆者の主張は的外れではない。実際、現代においてアイデンティティの喪失は深刻な問題でもある。占いブームにも見られる「自分探し」は、そのことをよく示している。
 出題者が、課題文を賛成しながら読んでほしいと思っていることは、1999年東京大学前期試験・国語第二問の(注意)で、「文章全体の趣旨の理解とそれに基づく意見を求めているのであって、単なる個人的な体験や感想の記述を求めているのではない」と記されていることで理解できる。このときの課題文のテーマが「青春」であったから、よけいに受験生には注意してほしかったのだろう。翌年から東大前期試験・国語第二問で出題されていた200字以内の論述問題がなくなったことは、もしかしたらこの注意にもかかわらず「文章全体の趣旨の理解とそれに基づく意見」が少なかったことを象徴しているのかもしれない。
 この問題に関しては、青本よりは赤本のほうがいい模範解答だ。青本の解答は、「文章全体の趣旨の理解とそれに基づく意見を求めているのであって、単なる個人的な体験や感想の記述を求めているのではない」という(注意)に注目するよう呼びかけているにもかかわらず、出題者の意図を無視している。ひとつの模範解答に頼ってはダメだということが分かる。そのような意味で、わたしが公表している解答例についても同じだ。わたしは、受験生でも練習によって書けるようになるレベルで解答例を書いているので、当然わたしよりいい内容の解答があるはずだ。わたしが「模範解答」としないで、「解答例」としているのもそのためだ。ぜひ、読者の皆さんには模範解答を超えるような解答を目指してほしい。

※2001年東京大学前期試験・国語第四問・解答例
http://blog.sasakitoru.com/200511/article_18.html

※1999年東京大学前期試験・国語第二問・解答例
http://blog.sasakitoru.com/200511/article_30.html

※1998年東京大学前期試験・国語第一問・解答例
http://blog.sasakitoru.com/200511/article_38.html

※1996年東京大学前期試験・国語第二問・解答例
http://blog.sasakitoru.com/200512/article_42.html

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